高度地区の規制に関する告知義務違反

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第2種高度地区の規制内容に関する告知義務違反

第2種高度地区の規制内容の告知義務違反による損害賠償責任が、媒介業者だけでなく売主の宅建業者にも認められた事例について、東京地裁の判決(平成21年4月13日)をもとに解説します。

第2種高度地区についての詳しい内容は次の記事を参考にしてください。

紛争の内容

背景

  • 買主Xは、平成18年6月に宅建業者Y1から東京都内の土地建物を、宅建業者Y2の媒介で2,830万円で購入し、同年7月に物件の引渡しを受けました。
  • Xは、既存の建物を取り壊し、本件土地に居宅兼工房を建築する予定でした。Xは建築士Aに確認を取りつつ、建築計画を進めていました。

問題発生

  • 本件土地は、建ぺい率80%、容積率300%、第2種高度地区に指定されていました。
  • Xは、延べ面積100㎡程度の4階建ての建物を希望していましたが、第2種高度地区の高さ制限(5m以上の部分が斜線制限に服する)により、実際には希望の建物を建てることができませんでした。
  • 媒介業者Y2は、重要事項説明で建ぺい率や容積率、第2種高度地区に関する一般的な説明をしましたが、具体的な規制内容や影響については説明しませんでした。
  • 売主の宅建業者Y1は、重要事項の説明に同席しておらず、Xがどのような建物を建築する予定かを把握していませんでした。

Xの損害

  • Xは、建築計画を断念し、本件土地を転売することになりました。
  • 転売に伴う諸費用や設計監理業務報酬、慰謝料、弁護士費用などの損害を被り、平成19年10月に裁判所に訴訟を提起しました。

各当事者の言い分

買主Xの主張

  • 本件土地上に延べ面積100㎡程度の建物を建築したい旨を明示していましたが、第2種高度地区の規制内容は説明されていない。
  • 媒介契約時に、Y2の宅地建物取引主任者が「4階建ては問題なく建つ」と誤った説明をした。
  • 売主Y1は宅建業者であり、売主の重要事項説明義務は他の宅建業者が媒介した場合でも免除されず、Xに対して説明義務を負う。

売主Y1の主張

  • 媒介業者Y2は、第2種高度地区について説明している。
  • Xの建物建築計画については聞かされていない。
  • Xは建築士と相談しており、本件土地上にどの程度の建物が建築可能かについて理解しているはず。

媒介業者Y2の主張

  • Xは、売買契約を締結するにあたり建築士Aと相談しており、建物に関して媒介業者に口出しさせなかった。
  • 重要事項説明書に基づき、第2種高度地区の説明はしており、「4階建てが建つ」という説明はしていない。

本事例の問題点

  • 媒介業者Y2の説明義務の範囲
    • 媒介業者はどこまで詳細に説明すべきか。
    • 買主が希望する建物の建築が法令によって可能かどうかをどの程度まで確認・告知する必要があるか。
  • 売主業者Y1の説明義務
    • 他の宅建業者が媒介した場合でも、売主は重要事項説明義務を負うか。
    • 買主に対して、法令による制限を詳細に説明する責任があるか。

本事例の結末

判決の概要

  • 裁判所は、Y1とY2の説明義務違反(債務不履行)を認定し、Xの損害賠償請求の一部を認容しました。

Y2の説明義務違反

  • 媒介業者Y2は、売買契約の当事者であるXに対し、媒介契約に基づき、都市計画法・建築基準法その他の法令に基づく制限に関する事項の概要を説明する義務を負っています。
  • 本件において、Xから本件土地に延べ面積100㎡程度の建物を新築する予定であると告げられていたため、規制の種類や名称だけでなく、具体的な内容を説明し、Xの希望に沿う建物が建築できないことを告知すべきでした。

Y1の説明義務違反

  • 宅建業者が売主の場合、法令に基づく重要事項の説明義務は、他の宅建業者が媒介した場合でも免除されません。
  • Y1は、Y2を通じてXが建物を新築予定であることを認識しており、Y2の説明が不十分であることを知っていたにもかかわらず、説明義務を果たさなかったとされました。

損害賠償

  • Xの転売に要した諸費用等の請求は認められましたが、慰謝料や弁護士費用は認められませんでした。
  • Y1とY2は不真正連帯債務の関係にあり、同一の損害を填補する責任を負います。

まとめ

土地の売買において、建物を新築する予定の場合(購入目的が告げられている場合)、法的規制の種類や名称だけでなく、具体的内容を通じて買主の要望に沿って十分に理解させる説明をする必要があります。予定している建物が当該土地の法的規制に照らして建築できるかどうか、具体的に正確に説明する必要があります。

今回は、買主が建築士に相談して話を進めていましたが、それでも宅建業者の説明義務は免除されません。これは少し酷な気もしますが、図面を見れば判断できると思います。

売主の宅建業者が重要事項説明の場に同席しないことはよくあることです。売主の宅建業者は媒介業者と共に重要事項説明書の作成に関わっているため内容はすでに知っているからです。しかし今回のように売主の宅建業者が他の宅建業者に媒介を依頼した場合でも重要事項説明義務は免除されません。重要事項説明書の中身を知っていることと、どのように説明しているかを知ることは別のことだと認識し、このような事故を起こさないようにしていきましょう。

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