自治体独自の高さ制限
建築基準法では斜線制限として「北側斜線制限」「隣地斜線制限」「道路斜線制限」がありがますが、自治体でも独自に高度地区を設定しています。今回は東京都で広く設定されている高さ制限について説明します。
第1種高度地区
第1種高度地区の高さ制限は建築物の各部分の高さは当該部分から隣地境界線までの真北方向の水平距離の 0.6 倍に5mを加えたものです。
ちょっと意味不明なことを書いていますが、図にすると次の通りです。
仮に高さ6mの陸屋根2階建てを計画しようとする、このような建物の場合は、北側から1800mmほど離さないと建てれらません。
東京都23区の低層住居専用地域では、ほとんどエリアでこの制限がかけられます。
狭い東京都の土地では隣地と近接せざるを得ませんので、陸屋根で設計されることはあまりありません。勾配屋根で土地をギリギリまで使う設計になりがちです。
引用:八王子市HP
北側斜線との関係
同じ北側からの制限がかかる「北側斜線」と「第1種高度地区の斜線制限」はどのような違いがあるでしょうか。次の図は斜線制限の角度の違いです。
このように第1種高度地区の規制の方が厳しいことが分かります。
東京都の低層住居専用地域で建築プランを検討するときは、第1種高度の制限を考慮する必要があります。
第1種高度地区の制限をクリアできれば北側斜線制限もクリアできるからです。
第2種高度地区
第2種高度地区の高さ制限は、当該部分から隣地境界線までの真北方向の水平距離が8メートル以内の範囲にあっては、当該水平距離の1.25倍に5メートルを加えたもの以下とし、当該真北方向の水平距離が8メートルを超える範囲にあっては、当該水平距離から8メートルを減じたものの0.6倍に15メートルを加えたものです。
第2種高度地区は、住宅地だけではなく近隣商業地域でも設定している自治体があります。
南側の道路が広くて容積率が高くても、思ったような計画が出来ずに地主をがっかりさせるやつです。
引用:八王子市HP
第3種高度地区
第3種高度地区の高さ制限は、当該部分から隣地境界線までの真北方向の水平距離が8メートル以内の範囲にあっては、当該水平距離の1.25倍に10メートルを加えたもの以下とし、当該真北方向の水平距離が8メートルを超える範囲にあっては、当該水平距離から8メートルを減じたものの0.6倍に20メートルを加えたものです。
第3種高度地区は、幹線道路沿いの商業地域でも設定されることがあります。
例えば青梅街道のような幅員20mくらいの道路に面していて400%の容積率が設定してあっても、それが南側の道路だとかなり計画が崩れます。
引用:八王子市HP
高度地区の規制の緩和
道路水面緩和
北側が道路や水面等に面している場合は同様の緩和があります。
斜線制限のラインが道路の反対側から、または水面や線路敷きの幅1/2の部分を境界線と見なします。
これは北側斜線の緩和と同様で、公園緑地緩和はありません。
道路緩和や水面緩和は過去記事を参考にしてください。
天空率緩和
高度地区の斜線制限には天空率の緩和がありません。建築基準法第56条7項で規定している天空率適用に高度地区の高さ制限は含まれていませんのでご注意ください。斜線のラインで無慈悲に制限されてしまいます。
天空率の適用については過去記事をご参照ください。
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