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業務委託契約とは

業務委託契約とは、会社や個人事業主がその業務の内、特定の業務や仕事を他の事業者に依頼する際に結ばれる契約です。この契約では、依頼者(発注者)が受託者に業務を依頼し、受託者がその業務を遂行することを約束します。

業務委託契約のメリット

業務委託契約の最大のメリットは、必要なスキルやリソースを持つ専門家に仕事を依頼できることです。また、正社員を雇用するのと比べて、コストやリスクが低い点も魅力です。企業のアウトソーシング化が進むことで需要が増えている契約形態です。

業務委託契約書に含まれるべき重要な項目

業務委託契約書には、以下の項目を必ず含める必要があります。

委託業務の範囲

業務内容は、その範囲を出来る限り詳細に取り決めをしておいた方が良い項目です。これをあいまいにして広い範囲で書いてしまうと、あれやこれや本来の目的とは異なる業務を振られて雇用と変わらなくなるからです。ですので、場合によっては別紙に詳細を記載して契約書と合綴する方法を検討しても良いでしょう。

委託者側から作成すると「これらに付随する一切の業務」と結ぶの一般的ですが、受託者側から見ると業務の範囲を曖昧にする原因となりますので、「これらの業務を遂行する上で必要な一切の業務」とした方が良いでしょう。

報酬の金額と支払い条件

報酬の払い方は、時給制や月額固定制、成功報酬制など様々な取り決めがあります。月額固定にする場合には、報告義務についても併せて決めておいた方が良い項目です。また、外部に対する会社の支払いサイトは個人にとって長いと感じる場合もありますので、支払い条件についてもしっかりと取り決めしましょう。

契約期間

継続的な業務委託契約の場合は、1か月や1年単位の契約期間にし、双方の申し出が無ければ自動延長という形が多いです。また、お互いの信頼関係のもつれなどで中途解約をしたい場合もありますので、解約予告期間を設けておくことも考慮しましょう。

再委託の禁止

特に個人のスキルを信頼して業務委託契約を結んである場合に、再委託をされてしまうと、依頼者側の考えていた成果物が得られない可能性があります。ただし、受託者側のリソース不足で業務を遂行できない場合には、再委託の禁止は足かせとなる場合があります。その為、理由がある場合には依頼者側の承諾を得て再委託をすることが出来るようにすることも検討しましょう。

業務の成果物に対する条件

委託した業務で発生した成果物がどこに帰属するのかを明記します。例えば日数を要する成果物であった場合では、引き渡しまで間に成果物の権利がどこに帰属するのかがあいまいになります。また著作権等では成果物の帰属をあいまいにしておくと後に問題となりやすいので、もれなく記載しておきましょう。

守秘義務について

業務委託契約を通して知った営業上の秘密であったり、個人情報や営業リストを持ち出さないように取り決めをすべきです。秘密保持に関しては別途秘密保持契約書を作成することも検討しましょう。

一般的な契約書条項

業務委託契約に限らず、一般的な契約書に盛り込まれる条項について説明します。

損害賠償責任

当事者の一方が契約上の行為によって相手方に損害を生じさせた時には、その損害賠償責任を追及することが出来ます。これは民法で定められていますので、あえて契約書に書かなくても発生する権利です。

しかし民法ではその責任の範囲までは詳細に規定されていませんので、解釈次第で損害賠償は青天井になってしまいます。そのため契約書に規定を設けた方が良いでしょう。

損害賠償に逸失利益を含まない、損害賠償の予定額を定める、弁護士費用や訴訟費用の含む、などを当事者間で定めます。

契約解除条項

民法では相手側が契約上の義務を果たさない場合に相当の期限を定めて履行の催告を行い、その期限に相手方が義務を果たさなかった場合に契約の解除が出来るとしています。しかし、相手方に契約を進められない重大な状況が発生した場合にはそのような悠長なことを言ってられません。

民法改正により無催告解除の規定が定められているものの、一方的な解除はトラブルの元となりますので、一定の事実を基に即時解除するという規定を定めておくべきでしょう。

契約不適合責任

契約不適合責任は、民ポ改正前に「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものです。

瑕疵担保責任の考え方は、瑕疵があるものでも引渡さえすれば債務不履行とはなりませんでした。契約不適合責任では、瑕疵のあるものは、相手側に渡しても契約上の引き渡しが完了したとは言えず、債務不履行の問題となります。

業務委託契約に成果物が発生する場合には、それが契約の内容に適合しない物だった場合に、どのような責任範囲にするのかを定めることが重要になってきます。

合意管轄裁判所

通常は依頼主と受託者とで地理的な距離が近いことが多いのですが、最近ではテレワークで遠方で仕事をすることも増えてきました。そこで争いが起こったときに、どこの裁判所で手続きを行うのかが重要になってきます。

「〇〇裁判所を合意管轄裁判所とする」とすればOKではありません。合意管轄には専属的合意管轄と付加的合意管轄があり、専属的合意管轄は、一般的に想像される合意管轄所で、原則的に指定した裁判所で手続きが行われるのに対し、付加的合意管轄は、法律で定められる管轄裁判所に加えて裁判所を選んで手続きを行うという違いがあり、単に「合意管轄」とすると付加的合意管轄であるという余地を与えてしまいます。そのため、手続きする裁判所を決めたい場合は「○○裁判所を専属的合意管轄裁判所とする」という記述が必要です。

また、調停を含めて管轄裁判所を指定しておくことも重要なポイントです。

業務委託契約を作成するときに注意すべきポイント

業務委託契約では、依頼者と受託者の関係が対等であることが前提ですが、実際は依頼者側が強い立場であることは否めません。その為新たに成立する法律は弱者である受託者側を保護する立場にあります。依頼者が過度な指示を出したり、受託者が労働者として扱われるような状況では雇用と見なされ、依頼者側に様々な制約が生じることにあります。

個人または社長のみの一人会社と業務委託契約を締結する場合は、フリーランス新法と呼ばれる新しい法律が出来ましたので、今まで下請法が適用されなかった会社も規制の対象となります。


業務委託契約を書面で締結することは今後義務となります。業務委託契約書の作成は、ぜひ当事務所をご利用ください。地元八王子市の行政書士が、あなたのビジネスを支援します。

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