法律に規定がある離婚の方法は協議離婚と裁判離婚があります。そのうち協議離婚は、両当事者が合意をして届けることで法律上の効果が生じる制度となっています。
協議離婚の手続き
離婚は婚姻の時と同様の届出を行う必要があります。
- 届け出ることによって、その効力が生じる
- 当事者双方と成人した証人2人以上が署名した書面か口頭で届出を行う
これに併せて、子供がいるときは夫婦のどちらかを親権者として決める必要があります。両親ともに親権者という決め方はダメです。
届出が受理された時点で離婚が成立します。
離婚の形態
事実上の婚姻関係を継続する意思があっても離婚は認められます。法律上の婚姻関係だけを解消するだけでもよく、判例でもそのような離婚は認められています。
妻を戸主とする入夫婚姻をした夫婦が、事実上の婚姻関係は維持しつつ、単に、夫に戸主の地位を与えるための方便として、協議離婚の届出をした場合でも、両名が真に法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてこれをしたものであるときは、右協議離婚は無効とはいえない。
最判昭和38年11月28日 https://www.courts.go.jp/
協議離婚の取消し
詐欺又は強迫によって離婚をした場合は、当事者の一方が離婚の取消しを家庭裁判所に請求することができます。ただし詐欺だということに気付いたとき、または強迫から逃れてから3か月が経過したら離婚の取消は出来なくなります。
離婚後の法律関係
離婚後の氏
離婚によって原則的には結婚前の氏に戻ります。これを復氏といいます。離婚は子供の籍に影響を与えませんので、復氏した方が親権者となっても子供の氏はそのままです。
離婚後の籍の変動
離婚後の籍の変動はすこし複雑なので、図で説明していきます。
図のような鈴木家夫婦が離婚したと仮定します。
子供がいる夫婦が離婚した場合
「鈴木さちこ」が離婚して復氏した場合は、「小林さちこ」となり、婚姻前の戸籍に戻ります。
このように鈴木家の戸籍からさちこが除籍されてました。さちこが復氏した場合は、「小林さちこ」となり、婚姻前の戸籍に戻ります。
婚姻時の氏を続用する
離婚から3か月以内に届け出ることによって、婚姻時の氏を引き続き使うことが出来ます。
同じ氏だからと言って従前の戸籍のままというわけではなく、さちこを筆頭者とした新たな戸籍が作られます。
離婚後、妻が親権を持つ場合
「鈴木虎太郎」の親権を「小林さちこ」が持つ場合はどうなるでしょうか。
鈴木虎太郎の親権を小林さちこが持って、小林家で養育していても鈴木虎太郎は元夫の戸籍に入ったままです。
離婚した妻が子を同じ戸籍に入れるには
小林さちこと鈴木虎太郎を同じ戸籍に入れるには、まず鈴木虎太郎の氏を改称しなければなりません。これは家庭裁判所に申し立てをして行います。
3代同一戸籍の禁止
戸籍筆頭者・その配偶者以外のものが同じ氏を持つ子を持つ場合は新たな戸籍が作られます。その結果、親ー子ー孫が同じ戸籍に入ることはありません。
このように虎太郎を小林氏に改称し、さちこと同じ戸籍に入れる場合、小林さちこを筆頭者とする戸籍に小林虎太郎が入籍することになります。
離婚後の子の監護に関する事項の定め
子供がいる夫婦が離婚する場合には子の監護をすべき者、子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担、子の監護について必要な事項を決めるなければなりません。これを協議する場合は、その子の利益を最も優先して考慮しなければならないとされています。
協議離婚の手続きについて、基本的な流れや注意点をご紹介しました。 離婚は非常にナーバスな問題ですが、適切な手続きを慎重に、しっかりと準備することで、将来のトラブルを予防することが出来ます。もし、協議離婚についてご不明な点や不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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