親権者は、未成年が単独で行えない法律行為の代理人となったり、同意をすることが出来ます。また子どもの利益のために、監護・教育を行ったり、子の財産を管理したりする権限があるといわれています。親権は子どもの利益のために行使することとされています。
父母の双方が親権者とされており、当然に親権を行使しているのであまり意識をすることがありませんが、父母が離婚をする場合には、父母のうち一方を親権者と定めることとされており、その者が親権を行使することとなります。
離婚をするときに初めて親権というものを意識するという方もいらっしゃるかもしれません。
親権の内容
身上監護権
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
子の人格の尊重等
親権を行う者は、前条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。
「子の人格の尊重等」は令和4年12月の民法改正によって新設されたものです。改正前は懲戒権というものがありました。懲戒権というのは「監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。」というものです。躾とも言いますが、躾の名のもとに体罰を与えることを黙認ていた社会があり、それを法令改正によって体罰をしてはならないと明文化されました。
子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
- 子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
- 親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
財産管理権と法定代理権
親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
親権者は「子の財産を管理し」「財産に関する法律行為についてその子を代表する」とあります。これは財産管理権と法定代理権に関する規定です。
この財産を管理するときは、自分のものを扱うときと同様の注意義務で足りるとされます。
法定代理権と利益相反行為
親権者は子供の法律行為を代理することが出来ますが、利益相反とされる行為を行う場合は代理権が制限されます。利益相反行為を行うためには、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。
利益相反行為となる判断基準
何を以って利益相反というのか。判例は次のように書かれています。
親権者が自己の負担する貸金債務につき未成年の子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、借受金を未成年の子の養育費に供する意図であっても、民法第826条にいう「利益が相反する行為」にあたる。
親が子供の学費を捻出しようとして借金をした場合に、子供の不動産を借金の担保にしたとしましょう。借金は子供のためのお金であり、子供の不動産に抵当権を設定するのは利益相反なのでしょうか。
これに判例は、利益相反であるとしています。
動機・目的が子供のためであろうと、客観的には親が借金をしているのには変わらないし、そうすると子供の不動産を親の借金の担保にするというのは利益相反になるということです。
親権喪失と親権停止の違い
親権の喪失の審判
親権は子供の健全な発育のために用いられなければなりませんが、虐待、置き去り、その他親権を行使することによって子供の利益を著しく害する場合には親権を喪失する場合があります。
父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。
親権喪失の審判がなされると親権に属する権限を失うことになります。
親権の停止の審判
親権喪失に似た制度として親権停止というものがあります。親権喪失の制度は親が無期限に親権を行使できないということもあり、これを認めることはとても重い判断となります。また2年以内に原因が消滅する見込みがあるときは認められませんが、これを証明することは容易ではないでしょう。
これに対し、親権停止は2年を超えない範囲で親権を停止させる制度です。一定期間の親権の制限で足りる場合には、比較的ではありますが認められるためのハードルが下がります。
親権の中から財産管理権のみを喪失させるという制度もある。この場合子供の監護権は引き続き親が持つことになります。身体への虐待は認められないものの、子供の財産を使い込んであるなどのケースで認められる可能性があります。
親権問題は、とても繊細な問題ですが、緊急な措置を要する場合もあります。専門家に相談することも検討し慎重に対応する必要があります。
行政書士 宅地建物取引士 1975年生まれ 八王子市在住。
デザイン会社就職をきっかけに八王子市に住み、以後20年程八王子市民。不動産開発会社を経て行政書士として独立。地域密着型の「街の法律家」として、遺言相続の相談を承ります。浅く広い多趣味:オートバイ・フットサル・ジョギング・一眼レフ撮影・フットサル・登山・カメラ・ライブ観戦・バスケ観戦・筋トレetc..