取締役の義務 取締役の責任や義務については、法令によって明確に定められています。主な義務は、善管注意義務と忠実義務です。利益相反取引に関しては、自己の利益を追求することが禁止され、株主総会や取締役会の承認が必要です。取締役は会社に著しい損害を与えるおそれがある事実を発見した場合には報告義務があります。株主は取締役の行為に異議を唱える場合、行為の差止めを請求できますが、公開会社や監査等委員会設置会社ではハードルが高くなります。取締役の報酬は定款や株主総会の決議によって決定され、特に監査等委員会設置会社では取締役会と監査等委員の意見が重要です。
取締役の選任と終任 取締役の権限は、取締役会の設置の有無によって異なります。非取締役会設置会社では、各取締役が業務執行権限を持ち、業務の決定は原則として取締役の過半数で行います。累積投票制度を利用すれば、少数派グループの推す候補者も取締役に選出される可能性があります。また、取締役の任期は通常2年で、最大で10年まで延長可能ですが、長期間の任期設定は慎重に検討する必要があります。解任に関しては、株主総会での特別決議が必要であり、適正な理由なしに解任された場合は損害賠償請求の対象となります。
株主総会の議決権 株主総会の招集手続きは、会社の規模が拡大するにつれて厳格さが求められます。しかし、その手続きが正当かつ公平に行われているかを確認するのは容易ではありません。そこで、裁判所から選任される検査役が登場します。検査役は株主総会の招集手続きが法令に適合しているかを調査・報告し、公平性を担保します。その申立ては少数株主の共益権として位置づけられています。
株主総会の権限と招集 株主総会は企業の命運を左右する重要な場であり、その権限は取締役会設置の有無によって大きく異なります。非取締役会社では株主の決定が柔軟で、取締役会設置会社では制限されています。招集は通常取締役が行いますが、少数株主が請求すれば株主自らも招集できます。株主の議決権行使にはルールがあり、特に1000人以上の株主は書面での行使が必要です。取締役会社では株主総会の決議は取締役会が行います。会社の経営に参加する株主や投資家にとって、株主総会の権限は重要なポイントです。
発起人等の損害賠償責任 発起人や設立時の役員は、会社設立において任務を怠り、会社や第三者に損害を与えた場合には責任を負います(会社法第54条)。ただし、株主の同意が得られれば免責されることもあります(会社法第55条)。 設立が無効となった場合、発起人は連帯して費用を負担します(会社法第56条)。設立無効の訴えは株主等によって2年以内に提起されますが、効力は将来に向けてのみ発生します(会社法第828条)。 設立無効の原因には、定款の欠如や出資の不履行などがあります。これらの規定には会社法が定められています。
設立に関する出資 出資や設立時の発行株式に関する事項の決定は重要です。設立時に発行される株式は「設立時発行株式」と呼ばれ、そのうちの一部事項は定款で定める必要があります。ただし、定款外で定める事項に関しては、発起人全員の同意が必要です(会社法第32条)。この同意は、設立時に必要な手続きをスムーズに進めるために重要です。変態設立事項に関する検査役の選任についても会社法第33条で規定されています。検査役の選任手続きや検査役の不要な場合の例外規定など、理解が必要です。条文の内容をしっかりと理解し、設立時の手続きに役立てましょう。