設立時役員等
設立時役員等とは、設立時取締役や設立時監査役の事で、言葉の通り会社設立時の役員となる者です。「設立時」と付いていますが、特別な役員ではありません。
ただし発起設立においては設立前まで、本来役員を選任するべき株主総会は存在しませんし、設立前は株主総会の役割を発起人が担うため、通常と少し規定が変わります。ここでは必要な条文を参照しながら進めたいと思います。
設立時役員の選任
発起設立の場合には、発起人は出資の履行が完了したら、遅滞なく設立時役員等を選任しなければなりません。
また、予め定款に役員の記載がある場合は、出資の履行が完了したと同時に役員等の選任があったとみなされます。
これは会社法第38条に規定があります。
- 発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。以下同じ。)を選任しなければならない。
- 設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、前項の規定による設立時取締役の選任は、設立時監査等委員(株式会社の設立に際して監査等委員(監査等委員会の委員をいう。以下同じ。)となる者をいう。以下同じ。)である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役とを区別してしなければならない。
- 次の各号に掲げる場合には、発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、当該各号に定める者を選任しなければならない。
一 設立しようとする株式会社が会計参与設置会社である場合 設立時会計参与(株式会社の設立に際して会計参与となる者をいう。以下同じ。)
二 設立しようとする株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合 設立時監査役(株式会社の設立に際して監査役となる者をいう。以下同じ。)
三 設立しようとする株式会社が会計監査人設置会社である場合 設立時会計監査人(株式会社の設立に際して会計監査人となる者をいう。以下同じ。)
- 定款で設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役。以下この項において同じ。)、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人として定められた者は、出資の履行が完了した時に、それぞれ設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人に選任されたものとみなす。
2項は平成26年会社法改正で追加された規定です。監査等委員会設置会社では監査等委員になるものとして選任される取締役と、その他の取締役を分けて選任しなければなりません。
3項についてはマーカーを振っていませんが、1項と同じく、役員を選任する旨の規定で、繰り返し同じことを言っているだけです。
定款のフォーマットにはだいたい設立時役員の記載があります。仲間内で決めているのに形式だけの投票を議事録として作成するのも面倒ですからね。
設立時役員等の選任方法
発起人は原則1株につき1議決権を持ち、議決権の過半数を以って役員等の選任をします。これは会社法第40条1項、2項の規定です。単元株についての但し書きもありますが、あとで単元株について学習すれば十分だと思います。
- 設立時役員等の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。
- 前項の場合には、発起人は、出資の履行をした設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
設立時取締役等の調査
設立時取締役・監査役は、選任された後、遅滞なく設立事項の調査を行い、法令違反、定款違反、不当な事項があった場合は発起人に通知しなければなりません。
- 設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役。以下この条において同じ。)は、その選任後遅滞なく、次に掲げる事項を調査しなければならない。
一 第33条第10項第一号又は第二号に掲げる場合における現物出資財産等(同号に掲げる場合にあっては、同号の有価証券に限る。)について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること。
二 第33条第10項第三号に規定する証明が相当であること。
三 出資の履行が完了していること。
四 前三号に掲げる事項のほか、株式会社の設立の手続が法令又は定款に違反していないこと。
- 設立時取締役は、前項の規定による調査により、同項各号に掲げる事項について法令若しくは定款に違反し、又は不当な事項があると認めるときは、発起人にその旨を通知しなければならない。
- 設立しようとする株式会社が委員会設置会社である場合には、設立時取締役は、第1項の規定による調査を終了したときはその旨を、前項の規定による通知をしたときはその旨及びその内容を、設立時代表執行役(第48条第1項第三号に規定する設立時代表執行役をいう。)に通知しなければならない。
調査すべき事項は以下の通りです。
(1)現物出資等の財産の価額が相当であるか。
(2)変態設立事項についての証明が相当であるか。
(3)出資の履行が完了しているか。
(4)設立の手続きが法令又は定款に違反していないか。
これらの調査を怠ると、発起人と共に設立に関する責任を追求される恐れがあります。この責任については別枠で説明します。
その他、設立時役員等の資格や必要員数、解任手続き、代表取締役の選任手続き等は、成立後の役員等とほぼ同じ規定ですので、特別に条文を読み込む必要はないと思いますが、一通り目を通した方がよいと思います。
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