社債とは、ざっくり言うと会社が借金をするときに、その債権を細切れにして、複数の人から受け入れる仕組みです。(1人または1社で引き受ける場合もあります。)
出資金を複数で出し合う株式にも似ています。その為株式と似たような制度がありますので、その点も併せて説明していきたいと思います。
株式との比較
株式 | 社債 | |
---|---|---|
利益・利息の分配 | 分配可能額があるときのみ剰余金の配当がある。 決算内容によっては配当が無い場合もある。 | 分配可能額によらず、契約によって定められた利息を受け取ることができる。 |
残余財産の分配 | 株主は、清算手続きによって、債権者への弁済がなされた後の残余財産の分配に預かれるのみ。 | 株主に先立って他の債権者と同様に元本と利息について弁済を受けることができる。 |
払込金の払い戻し | 株主は、会社が存続している間は、原則的に出資金の払い戻しを受けることができない。 | 償還期限が到来すれば、契約通りの償還を受けることができる。 |
経営参与権 | 株主は、株主総会での議決権を以て経営に関与できる。 | 経営に関与する権利はない。 |
社債の流通
社債には「記名式社債」と「無記名式社債」があります。
記名式社債とは、社債原簿に社債権者の住所、氏名(名称)が記載されている社債です。
社債券
社債を発行する場合には、社債券の発行をすることが出来ます。
記名式社債の場合は、社債券を発行する義務はありません。社債原簿へ社債権者の住所、氏名(名称)の記載で管理できるからです。
無記名式社債の場合は、必ず社債券が発行されます。社債券が無いと、誰が債権者が特定できないからです。
記名式社債の譲渡
記名式社債の譲渡は、社債券が発行されている場合は、その社債券の交付によって効力が生じます。
社債券が発行されていない場合は、譲渡の意思表示のみで効力が生じます。
記名式の場合は、社債券が発行されているか否かによらず、会社、その他の第三者に譲渡を対抗するには社債原簿の名義変更が必要になります。
この辺りは株式の譲渡によく似ていますので、復習しておきましょう。
無記名社債券の譲渡
無記名社債券は、その社債券の交付で譲渡の効力が生じます。民法を勉強している方なら、民法83条3項「無記名債権は、動産とみなす。」という規定を見たことがあると思いますが、この場合も債権は動産として扱われます。
無記名債権と無記名債券は読み方が同じなので勉強するときにややっこしいのですが、無記名債券とは、例えばチケットなどの目に見えている存在そのもので、無記名債権とは、その物体に付随する目に見えない権利です。
無記名債券と無記名債権は離すことのできないもの性質のもので、「期限の切れたチケットは紙くず」というのは、それをよく表している言葉だと思います。
社債券の種類
社債券には、引受人のニーズによって様々な種類があります。
利札付社債
上の図では、4年物の額面100万円年率5.0%の社債に、利札が4枚付いています。年に一度切り離して利息分5万円に換金できます。
切り取った利札そのものは有価証券として流通させることも出来ます。
割引債
利札が付かない社債の場合に額面金額から利息相当分を差し引いた社債が発行されます。
例えば、上の図を借りて説明すると、4年物の額面100万円年率5.0%の社債に相当する割引債は、80万円で社債を購入して100万円の償還を受けるような形になります。
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