成年後見制度を利用した相続財産の居住用不動産の処分

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今回は、「相続財産である居住用不動産の処分許可」について解説します。高齢化が進む中で、相続財産の中でも居住用不動産の取り扱いが重要なテーマとなっています。特に、相続人の一人に意思能力が十分でない方がいる場合、成年後見制度を利用して不動産を売却する際の手続きについてわかりやすく説明します。

相続財産の処分と成年後見制度の基本

遺産分割と相続登記の手続き

遺産分割は、相続人全員の合意に基づいて行われます。遺言書がない場合、通常は相続人全員で遺産分割協議を行い、各相続人の取得財産を決定します。ただし、相続人の一人が認知症などで「事理を弁識する能力を欠く状態」である場合、成年後見人を選任して遺産分割協議を進めることになります。

他の相続人が成年後見人となる場合は、利益相反となるので、特別代理人の選任が必要になります。

成年後見制度と居住用不動産の処分許可

成年後見制度は、判断能力が十分でない方の財産管理や身上監護を行うための制度です。

成年被後見人の居住用不動産を売却するには、家庭裁判所の許可が必要です。この許可を得るためには、成年後見人が家庭裁判所に申請し、売却の必要性や不動産の評価額の妥当性などを証明する必要があります。

成年後見制度を利用した手続き

成年後見人の選任と後見開始

成年後見人の選任は、被後見人の住所地を管轄する家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てることで行います。家庭裁判所は、成年後見人となる者の職業や経歴、被後見人との関係などを考慮して選任します。選任には通常3〜4か月の期間がかかります。

居住用不動産処分許可審判の申立て

成年後見人が選任された後、居住用不動産を処分するためには、家庭裁判所に処分許可を申請します。この申請には、不動産の売却理由や売却先、価格の妥当性を示す書類が必要です。許可が下りるまでに約3〜4週間かかりますが、申請内容によっては期間が延びることもあります。

具体的事例:

相続で取得した自宅を売却し、その資金を母親の介護施設入居費用に充てたいという状況です。共同相続人の母親は認知症で意思能力が十分でなく、同じく相続人である子が成年後見人となって手続きを進める場合、どのような手続きを行うべきでしょうか。

処分手続きの詳細

このケースでは、まず法定相続分に基づいて共有登記を行い、次に成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立てます。その後、居住用不動産の処分許可を申請し、許可を得てから不動産を売却します。全体の手続きには約6か月以上の期間が必要であることが予想されます。

売却完了までのスケジュール

成年後見人の選任から居住用不動産売却の手続き完了まで、通常6か月以上の期間が必要と見られます。後見開始の審判申立てから売却までの具体的なフローは以下の通りです。

家庭裁判所
成年後見開始審判の申立

成年後見人を選任するためには成年被後見人の住所地を管轄する家庭裁判所に後見開始の審判の申し立てにより行う。
通常3~4か月かかる見込み

宅建業者
媒介契約書(不動産売却)締結

宅建業者
売買条件の確定(停止条件付売買契約の締結)

居住用不動産処分許可の審判には、買主の住所氏名を記載した売買契約書案が必要です。

つまり、下記の申立の前に契約相手と契約条件を確定する必要があります。建前上は居住用不動産の処分許可が下りる前の契約行為は無効となるのですが、実質的に契約書の取り交わしは申立の前に行います。

このため、必ず処分許可を停止条件とした契約を締結します。

家庭裁判所
居住用不動産処分許可審判の申立

成年後見人が、成年被後見人の居住用不動産を処分するには、事前に家庭裁判所に居住用不動産処分の許可の申立てをし、その許可を得る必要があります。
通常3~4週間かかる見込み

宅建業者
不動産売買契約決済

停止条件が成就したことで有効な契約となり、引き渡しが行えます。

注意点とアドバイス

手続きが複雑で時間がかかるため、早めに専門家のアドバイスを受けることが重要です。また、家庭裁判所の許可を得ないで不動産を処分すると無効となるため、許可を確実に得るための準備を十分に行う必要があります。

まとめ

相続財産である居住用不動産の処分許可の手続きについて解説しました。成年後見制度を利用することで、認知症などで意思能力が十分でない相続人がいる場合でも、不動産の売却を進めることができます。ただし、手続きには時間がかかるため、早めに準備を進め、必要な手続きを正確に行うことが求められます。

不動産の相続や売却に関する問題は非常に複雑です。適切な手続きを進めるためには、専門家のサポートを受けることが重要です。

次回も、相続や不動産に関する重要な情報をお届けしますので、ぜひチェックしてください!

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