外国人留学生が日本で教育を受けるためには
在留資格制度による留学の資格に該当する範囲は、外国人が日本の教育機関において教育を受ける活動とされていますが、「教育を受ける活動」とするためには、その教育機関に在籍するだけでは在留資格を認められません。その教育機関で勉学の意思と能力があることが必要であり、留学生本人の学歴または語学力を以って確認されます。
日本語で行われる授業を理解するためには、客観的な証明をする必要があります。
外国人が大学・高専に入学し、在留資格を得るための語学力
大学、高専に入学して在留資格を得るためには、日本語能力試験N2(2級)相当(授業時間600時間)以上の日本語能力を有していることを証する資料が必要になります。
N2に相当する日本語力とは
日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
幅広い話題について書れた新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論など、論旨が明快な文章を読んで文章の内容を理解することができる。
一般的な話題に関する読物を読んで、話の流れや表現意図を理解することができる。
日常的な場面に加えて幅広い場面で、自然に近いスピードの、まとまりのある会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解したり、要旨を把握したりすることができる。
N2相当の日本語能力を示すには以下の試験の点数で表すことで客観的に説明できます。
- 日本語能力試験でN2(2級)以上の認定を受けていること
- 日本留学試験(日本語(読解、聴解及び聴読解の合計))の200点以上を取得していること
- BJTビジネス日本語能力テストを400点以上取得していること
大学だけではなく専門学校も日本語能力について確認があります。N2ともなると長い文章も出てきますし、なかなか難しいと思います。
外国人が専修学校、各種学校などに入学し、在留資格を得るための語学力
専修学校又は各種学校へ入学する場合には、次のいずれかに該当する資料で、その学校での勉学の能力があることを証明する必要があります。
- 法務省告示をもって定める日本語教育機関において1年以上の教育を受けていること
- 専修学校又は各種学校において教育を受けるに足りる日本語能力を次の試験により証明されていること
- 日本語能力試験でN2(2級)以上の認定を受けていること
- 日本留学試験(日本語(読解、聴解及び聴読解の合計))の200点以上を取得していること
- BJTビジネス日本語能力テストを400点以上取得していること
- 学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園を除く。)において1年以上の教育を受けていること
以上のように日本の高等教育機関等に入学し在留資格を得ようとするとかなりの日本語能力が求められます。
そのため、日本の大学に入学し、留学の在留資格を得ようと思ったら、日本語を学ぶために海外の日本語学校で習得するか、日本の日本語教育機関に留学するケースが考えられます。
日本語教育機関への入学をするための在留資格
日本語教育機関における勉学を目的とし、「留学」の在留資格で在留するためには、法務省が告示をもって定める日本語教育機関又は認定日本語教育機関に入学する必要があります。
「法務省が告示をもって定める日本語教育機関」「認定日本語教育機関」とは
法務省が告示をもって定める日本語教育機関として認定されるためには、告示基準を満たす必要があります。
厳格な基準を満たす必要があり、その基準を満たすとされた学校については出入国管理庁のウェブサイトで公開されています。
認定日本語教育機関とは、令和6年4月に施行された日本語教育機関認定法に基づく日本語学校で、文部科学大臣によって認定された日本語教育機関です。第一回目の認定申請が72校あり、認定されたのは22校で3割の認定率となりました。
受け入れ基準に満たなかったり、準備が出来ていない学校があり、認定されても運営の懸念点を指摘されている学校もあるようです。
認定された日本語学校は文部科学省のウェブサイトで公開されていますが、詳細ページが準備中の学校もあり、ものすごく突貫でスタートした枠組みであるなと感じました。
外国人が日本語学校に入学し、在留資格を得るための語学力
日本語学校での勉学の意思及び能力を測る指標としては、「日本語教育の参照枠」におけるA1相当以上(授業時間150時間)の日本語能力を有することを試験又は日本語履修歴により確認することになります。まったく日本語が理解できない状態だと日本語学校に留学するための在留資格が発給されません。
「A1相当」とは具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることもできる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助け船を出してくれるなら簡単なやり取りをすることができる程度の日本語能力を表します。
A1相当の日本語能力を示すには以下の試験の点数で表すことで客観的に説明できます。
- 日本語能力試験でN5以上の認定を受けていること
- BJTビジネス日本語能力テストを300点以上取得していること
- J.TEST実用日本語検定のF級以上の認定を受け又はFGレベル試験において250点以上取得していること
- 日本語NAT-TESTの5級以上の認定を受けていること
- 標準ビジネス日本語テストを350点以上取得していること
- TOPJ実用日本語運用能力試験の初級A以上の認定を受けていること
- J-cert生活・職能日本語検定の初級以上の認定を受けていること
- JLCT外国人日本語能力検定の「JCT5」以上の認定を受けていること
- 実践日本語コミュニケーション検定・ブリッジ(PJC Bridge)の「C-」以上の認定を受けていること
- JPT日本語能力試験において315点以上の認定を受けていること
- JPT Elementaryにおいて68点以上取得していること
日本語を学ぶために日本語教育機関に入学する前提なので、求められる日本語能力としては下位レベルなのですが、外国人が問題を解くのは結構難しいと思います。
授業時間150時間相当とされている能力なので、網羅的に日本語学ぶのではなくある程度過去問などで出題傾向が絞れるのでしょうか。