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株式会社の成立

株式会社は本店所在地で登記をすることによって成立します。

会社法第49条(株式会社の成立)

株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

登記の申請には、会社設立が法律に従って作られているかを審査するために必要な証明書類を添付する必要があり、その審査を通して違法な設立ではないという事が担保されます。

登記事項

登記される事項は会社法911条3項に定められています。
これをすべて暗記する必要はないと思いますが、定款の「絶対的記載事項」との共通点と相違点はチェックしておいた方がいいでしょう。
会社法911条の規定は、一通り勉強した後に、見返すと面白い部分です。初学の方はここは一旦飛ばしても構わないと思います。

登記の効果

設立登記によって株式会社は成立し、法人格を取得します。この結果、設立中の権利能力なき社団である会社が、発起人を通じて行った法律関係は、設立後の株式会社に帰属することになります。

これによって発起人は任務を終え、設立時株式の引受人は株主となり、設立時取締役は取締役となります。

株式引受けの無効または取消しの制限

発起人が一株も株式を引き受けないという事態は会社設立が無効となるということを意味します。
会社が成立して経済活動を始めた後に発起人が株式引受けの無効や取消しを主張し、法律効果を遡及させることは事実上困難です。
そこで会社法は次のような規定を置いています。

会社法第51条(引受けの無効又は取消しの制限)

  1. 民法第93条ただし書及び第94条第1項の規定は、設立時発行株式の引受けに係る意思表示については、適用しない。
  2. 発起人は、株式会社の成立後は、錯誤、詐欺又は強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。

これは民法の意思表示に関する特則です。
第1項は、心理留保・虚偽表示があっても株式引受けは無効とならないとしています。
第2項は、錯誤や詐欺脅迫による取消しは会社の成立までは可能であるが、会社の成立後は出来ないとしています。
募集設立の場合は創立総会で議決権を行使した後は出来ません。(会社法第102条6項)

株式引受人が制限行為能力者の場合は、この特則の制限はありません。ご注意ください。

設立登記によって法人としての権利能力が発生し、設立中に発起人を介した法律関係が株式会社に帰属すると書きました。
では、会社が成立しなかったら、宙に浮いた法律関係はどうなるのでしょう?

次は違法な設立、会社の不成立についての責任について説明していきます。

設立に関する責任

出資された財産等の価額が不足する場合

会社法第52条(出資された財産等の価額が不足する場合の責任)

  1. 株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額(定款の変更があった場合にあっては、変更後の価額)に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。
  2. 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、発起人第28条第一号の財産を給付した者又は同条第二号の財産の譲渡人を除く。第二号において同じ。)及び設立時取締役は、現物出資財産等について同項の義務を負わない。

一  第28条第一号又は第二号に掲げる事項について第33条第2項の検査役の調査を経た場合
二  当該発起人又は設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合

  1. 第1項に規定する場合には、第33条第10項第三号に規定する証明をした者(以下この項において「証明者」という。)は、第1項の義務を負う者と連帯して、同項の不足額を支払う義務を負う。ただし、当該証明者が当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。

原則的には、現物出資等で出資した財産の価額が、定款に定めた価額に著しく不足する場合、発起人と設立時取締役は連帯して不足分の穴埋めの義務を負います。

原則

52条1項

検査役の調査を経た場合。

(会社法第52条1項)その穴埋めの義務を免れるためには、
(1)検査役の調査を経た場合。
(2)過失が無かった事を証明した場合。
この2点のいずれかが必要です。(会社法第52条2項)
ただし、現物出資等に直接かかわった発起人・設立時取締役は免責されません。

過失が無かった事を証明した場合。

現物出資財産を鑑定した者の責任

ところで現物出資等で検査役の調査が不要な場合がありました。
専門家による証明・鑑定がなされた場合です。この場合は、出資された財産の価額が不足していたら発起人・設立時取締役と連帯して穴埋めの責任を負う事になります。(会社法第52条3項)

ただし、過失が無かった事を証明すれば責任を免れます。(会社法第52条3項ただし書き)