瑕疵担保責任免除特約の効力が否定された事例

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札幌地裁判決平成17年4月22日

これはガソリンスタンド跡地の売買における地中埋設物に関する瑕疵担保責任免除特約の効力が否定された事例です。この判決は、特に売主が宅建業者である場合の瑕疵担保責任についての理解を深めるために重要です。

1. 契約と地中埋設物の発見

① Y1(ガソリンスタンドを経営する会社)は昭和50年頃からA土地でガソリンスタンドを経営していましたが、平成元年にガソリンスタンドを閉鎖し、平成5年に解体業者Y2に750万円で解体工事を発注し、撤去工事が行われました。

② Y1は平成7年8月、宅建業者Y3にA土地を売却しました。売買の際、Y1はA土地のガソリンスタンド施設はすべて撤去済みであると説明しました。

③ Y3はA土地を建売住宅用地として販売していたところ、X(非宅建業者・法人)は事業用地として適していると判断し購入を決定。Xは購入前に地中埋設物の撤去について問い合わせ、Y3は「撤去済みである」と回答しました。このため、平成8年6月11日にA土地の売買契約を締結しました。売買契約には瑕疵担保責任免除特約が記載されていました。

④ 数年後、XはA土地を売却する必要が生じ、平成14年2月22日にBと売買契約を締結しました。同年3月25日頃、Bが測量を行い、その際に地中埋設物を発見しました。同月29日にY1・Y2・Y3・Xの担当者がA土地に集まり、地中埋設物の処置について協議を行いました。

⑤ Xは、地中埋設物の存在は「土地の隠れた瑕疵」であると主張し、Bへの引渡し前に一部を除去した費用や売買代金の減額分を損害として、Y1・Y2・Y3に1,274万円余の支払いを求める訴訟を平成14年10月5日に提起しました。

各当事者の言い分

売主Y3の言い分

Y3は、瑕疵担保責任免除特約により、地中埋設物に関して瑕疵担保責任を負わないと主張しました。

買主Xの言い分

  1. 地中埋設物の存在は想定外であり、瑕疵担保責任免除特約は無効である。
  2. 宅建業法第40条に違反しており、瑕疵担保責任免除特約は無効である。

本事例の問題点

瑕疵担保責任免除特約が有効か無効か

本事例の結末

判決の内容

札幌地裁は以下の理由により、売主Y3が瑕疵担保責任免除特約を理由に瑕疵担保責任を免れることはできないと判断しました。

  1. Y3は、Xに対しA土地の地中埋設物が撤去済みであると回答していました。
  2. 売買契約締結時に、地中埋設物のごく一部が境界付近に露出していたことを認識していたが、Y3はこの点について具体的な説明を行っていませんでした。
  3. 判決では、Xが支出した地中埋設物除去費用は短期間の工事であったため割高とされ、通常の除去費用相当額180万円のみをY3に支払うよう命じました。

Y1とY2の責任

  1. Y1(ガソリンスタンド経営会社)に対する請求は完全に否定されました。
  2. Y2(解体業者)は、地中埋設物の存在が発覚した後、Xに対して相当な額であれば除去費用を負担することを約束していたため、Y3と連帯してXに180万円を支払うよう命じられました。

まとめ

1. 瑕疵担保責任免除特約の効力について

本事例は、重要事項説明書に瑕疵担保免責特約が記載されていたものの、特約の効力が否定された事例です。以下の点が重要です。

  1. 今回のように売主が「地中埋設物は存在しない」と発言していた場合、瑕疵担保免責特約は無効となる可能性があります。
  2. 売主が宅建業者であり、買主が非宅建業者である場合には、瑕疵担保責任を一切負わない特約は宅建業法第40条に違反し無効となります。
宅地建物取引業法第40条 

宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治29年法律第2989号)第566条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。

2 前項の規定に反する特約は、無効とする。

2. 瑕疵担保責任を負う期間

本事例のように、瑕疵担保免責特約が無効である場合、商法第526条第2項に基づき、売主が瑕疵担保責任を負う期間は引渡しから6ヵ月となります。これは、宅建業法第40条が、「瑕疵担保責任(契約不適合責任)の期間の特約」を結んだときに有効になる規定であり、特約が無効である場合は、一般原則に戻るからです。


本事例は、瑕疵担保責任免除特約の効力が否定された判決を示しています。売主の属性や取引の経過によって、瑕疵担保責任の有無が判断されるため、契約書や重要事項説明書の記載内容に注意が必要です。また、地中埋設物や土壌汚染のリスクを適切に管理するために、専門家の助言を仰ぐことが推奨されます。