天空率による高さ制限の不適用

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天空率緩和は「建築基準法第56条7項による斜線制限の不適用」といわれるものです。
まずは条文を見てみましょう。

建築基準法第56条7項

次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない。

次の各号というのは上記の56条7項に規定される1号「道路斜線制限」2号「隣地斜線制限」3号「北側斜線」を表しています。

これは各斜線制限により確保されるべき採光、通風等と同程度以上のものが確保できていれば斜線制限は適用されませんという規定です。そしてその計算に使われるものが天空率というものです。

モデルを用意しましょう。

①適合建築物

これは北側斜線制限のモデルですが、このように斜線制限の範囲で限界まで建てる架空モデルを「適合建築物」と言います。
これが斜線制限で求められる採光通風を確保した建築物とします。

②建物モデル

しかし実際はお隣に接して敷地いっぱいに建てることはしないし、天空率ができる前までは、②のような建物を計画していたと思います。
斜線の内側にありますので、高さ制限はクリアしています。しかし、「適合建築物」と比べると、手前・奥・両脇が空地なので採光通風は余裕でクリアしてます。

「ちょっともったいないね?」

そこで適合建築物と同等の通風採光が採れるならOKにしましょうよ。という56条7号の規定が出来ました。

③天空率適合モデル

これは建物が斜線からはみ出していますが、適合モデルと同等の採光通風が確保できたとみなされた建物のモデルです。

このようにデザインの自由度も出てくるので、建築プランの工夫もできるようになりました。

天空率の計算自体は難しいので割愛させていただきますが、不動産を扱っている方は斜線制限の緩和ができることだけでも覚えておいた方がよいと思います。

天空率で緩和ができるのは道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限のみです。

これは建築基準法に定められている緩和ですので、地方自治体が定める高度地区には緩和が効きません。これは注意しておいた方がよいポイントです。

今回は天空率緩和と呼ばれる建築基準法56条7項の規定について説明しました。次は東京都で実施される高度地区の解説をしていきたいと思います。

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