募集設立

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募集設立の手続き

募集設立とは、発起人以外のものに株式の引き受けを募集し設立される方法をいいます。
ほとんど利用されない設立方法ですので、発起設立との相違点、問われやすそうな点などを中心に書いていきます。

払込金保管証明書

株式会社設立の登記申請には、「払込みがあったことを証する書面」の添付が必要になります。

発起設立の場合

預金通帳の写し」+「(設立時代表取締役の作成した)払込証明書」の綴りで足ります。

募集設立の場合

預金通帳の写しではなく、金融機関が発行する「払込金保管証明書」が必要になります。

金融機関は、この払込金保管証明書を発行すると、出資が仮装であった場合でも会社から請求があれば払込金を返還しなければならなず、金融機関を強力に拘束するので発行手続きに時間がかかり、手数料も払込金に応じて掛かります。

金融機関の責任もありますので、まったく付き合いのない金融機関だと払込保管証明書の発行に難色を示すかもしれません。

創立総会

会社法第65条(創立総会の招集)

  1. 第57条第一項の募集をする場合には、発起人は、第58条第一項第三号の期日又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、設立時株主(第50条第一項又は第102条第二項の規定により株式会社の株主となる者をいう。以下同じ。)の総会(以下「創立総会」という。)を招集しなければならない。
  2. 発起人は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、いつでも、創立総会を招集することができる。

募集設立の場合、払込期日(払込期間)が過ぎると、発起人は遅滞なく創立総会を招集しなければなりません(第65条1項)。
必要な場合は、いつでも招集することが出来ます。(会社法第65条2項)

また、この創立総会では、会社の設立に関するものだけを決議することができます。

会社法第66条(創立総会の権限)
創立総会は、この節に規定する事項及び株式会社の設立の廃止、創立総会の終結その他株式会社の設立に関する事項に限り、決議する事ができる。

創立総会では設立時取締役を選任しますが、その設立時取締役は調査の結果を創立総会で報告しなければなりません。調査の内容は発起設立での調査と同様です。(会社法第93条)

そのまま読むと、「設立時取締役選任(創立総会)」→「設立時取締役による調査」→「設立時取締役の調査報告(創立総会)」で少なくとも2回は創立総会を開催しなければならないように見えますが、実際は、事前に設立時取締役は内定されていて、それらの者が事前に調査を行い、創立総会での設立時取締役選任後、すぐに調査の報告を行うようです。

小規模会社の募集設立の場合は、株式のほとんどを発起人で引き受けて、その残りを親戚等の縁故者に引き受けてもらう事が多いようです。

そういう事もあり、事前に発起人間で設立時取締役を内定しても、創立総会で議決権のほとんどは発起人が持っていますので、そのまま内定者が決定するようです。

定款の内容変更

募集設立において、発起人が変更できる定款の内容は、発起設立の場合と同様です。ただし、その変更ができる期間の制限があります。

会社法第95条(発起人による定款変更の禁止)

第57条第1項の募集をする場合には、発起人は、第58条第1項第三号の期日又は同号の期間の初日のうち最も早い日以後は、第33条第9項並びに第37条第1項及び第2項の規定にかかわらず、定款の変更をすることができない。

以上のように、募集設立においては、募集株式の出資金の払い込み期日または期間の初日の早い方までしか、発起人による定款変更ができません。

その後に定款変更をするには、創立総会の決議によらなければなりません。
創立総会による定款の変更は会社法第96条に記されていますが、ちょっと気になる規定になっています。

会社法第96条(創立総会における定款の変更)

第30条第2項の規定にかかわらず、創立総会においては、その決議によって、定款の変更をすることができる。

会社法第96条では定款変更可能な内容を示していません。
色々な解釈ができますが、手持ちの六法では、判例(最判昭和41年12月23日)を引用し、創立総会が変更できるのは、変態設立事項を定めた定款記載の削除・縮小のみで、新たに変態設立事項に関する記載を追加・拡張させる事は出来ないとしています。

創立総会の決議方法

第73条(創立総会の決議)

  1. 創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行う。
  2. 前項の規定にかかわらず、その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う場合(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、当該定款の変更についての創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の半数以上であって、当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
  3. 定款を変更してその発行する全部の株式の内容として第107条第1項第三号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとする場合(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、設立時株主全員の同意を得なければならない。
  4. 創立総会は、第67条第1項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。ただし、定款の変更又は株式会社の設立の廃止については、この限りでない。

創立総会の決議は3種類の決議方法があります。

①議決権の過半数の株主で、その株主の議決権の2/3以上
②議決権を行使できる株主の半数以上で、その株主の議決権の2/3以上
③株主全員の同意

原則的には①の決議方法を採ります。非公開会社に変更するための定款変更は②の決議方法になります。取得条項付株式の定めを置く、定款変更を行う場合は③の方法になります。

②③は株主総会でも同様の決議要件を求められますので、①が株主総会と異なる点はチェックしておきましょう。