越境の覚書はなぜ必要か?

不動産関連
  1. ホーム
  2. 不動産関連
  3. 越境の覚書はなぜ必要か?

越境とは

越境とは、この図のように、他人の土地に建物の一部がはみ出している状況を指します。

ブロック塀や、屋根や庇などの建物の一部や、後で壁面に取り付けたエアコンの室外機が越境している場合もあります。

しかしこのようなものをすぐに撤去したりすると不都合が生じる場合があります。

越境の覚書とは

越境の覚書とは、越境物について、お互いの土地の所有者が認め合い、すぐに撤去しなくてもよいように結ぶ合意書です。

越境の覚書には主に次のことについて合意がなされます。

越境物の確認

越境が存在する土地の所有者、越境物の所有者双方が、越境物があることを確認する旨の内容です。

将来撤去の定め

越境物について、建て替えや、作り替えの時に、越境を解消する旨の取り決めを行う内容です。

現状継続の定め

越境物について、すぐに撤去するのではなく、そのまま継続して使用する旨の内容です。

第三者承継の定め

越境の覚書について、当事者の不動産が売買などで移転した場合も、その覚書の内容を承継させる旨の内容です。

このように書くと、越境している物の所有者のための覚書のように見えますが、実はそうとは限りません。

それには時効取得の話が関わってきます。

越境と時効取得の関係

民法第162条
  1. 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
  2. 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

10年と20年の取得時効の占有期間の違いは、占有を始めたときに、それが他人のものか知っていたかどうかで変わります。他人のものだと知っていれば20年、知らなければ10年で取得時効が完成します。

例えばA地、B地の間に越境があったとします。その後、所有権に相続が発生し、しばらく測量もしていないと仮定すると、元々の当事者A、Bともに越境のことは知っていたが、有耶無耶なまま相続が発生した場合には、A、Bの相続人はブロック塀の形のままの土地の形状だと思い込んでいるかもしれません。

その後、過去の資料で測量をしたときに越境が発見されても、相手方から取得時効が援用される可能性があります。

このように、越境の覚書は、越境物の所有者が現状のまま使用するためにも必要ですが、時効の要件を満たさないようにするためにも、越境物の確認をすることは、越境を受けている土地の所有者のためでもあります。

不動産に関するご相談、業務のご依頼のご相談はお問合わせください。

    必須お名前

    必須メールアドレス

    任意件名

    必須お問い合わせ内容

    任意このホームページを知ったきっかけを教えてください。【複数を選択】

    スパムメール防止のため、こちらのボックスにチェックを入れてから送信してください。