賃貸マンションのオーナーチェンジにおいて入居者資料を開示する場合の注意点

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賃貸マンションの入居者資料は重要な個人情報です。審査に利用する借主個人の属性や保証人、緊急連絡先の情報まで扱っていますので、厳重な取り扱いが必要になり、容易に開示できないように思えます。

オーナーチェンジと個人情報保護法との関係

賃貸マンションのオーナーとしては、本人属性、保証人の有無など安定したマンション経営をするためには重要な情報です。それはマンションを買う新オーナー側も同じで、安定的な収益を得るために、入居者は学生なのか、会社員なのか、どのような職業なのか、滞納歴はないか、など、多くの関心事があります。

そのため、賃貸マンションのオーナチェンジをする際は、購入を決定付ける要素として、入居者資料の閲覧は欠かせません。

これらの行為は入居者に知らせることなく行われます。それは果たして大丈夫なのか。

原則的には個人情報を第三者へ提供する場合は、本人の承諾が必要になりますが、本件に関しては、事前の承諾を得ることなく個人情報の提供を行っても個人情報保護法に反することは無いとされています。

不動産売買契約に付随して、不動産の売主から買主に対して、当該不動産の管理に必要な範囲で当該不動産の賃借人の個人データが提供される場合には、当該不動産に係る事業の承継に伴って個人データが提供される場合と評価することができる

個人情報保護委員会 https://www.ppc.go.jp/index.html

このように賃貸マンションのオーナーチェンジは、事業継承についての個人情報の取扱いについての考え方が準用されています。

事業継承についての個人情報の取り扱い

個人情報の保護に関する法律第18条2項

個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。

このように事業継承に伴う個人情報の取扱いについては、従前の取扱範囲と変わらなければ、「第三者への提供」とは見なされません。そのため個人情報が継承されることについて本人の承諾を得る必要はないとされています。

このため賃貸マンションのオーナチェンジにおいても、事業継承における個人情報の取り扱いについての考え方に準じ、相手方に個人情報の提供を行うために事前の承諾は必要ないとされています。

賃貸マンションの売買が不調に終わったときの対応

入居者の個人情報は、重要事項説明で開示すべき重要な要素でありますが、重要事項説明や契約に至る前の段階で開示されないと、買主の購入意思の形成ができません。そのため、個人情報を提供しても売買が成立しないことはよくあります。

購入検討者に提供する個人情報が記載された資料は、契約に至らない場合は回収しなければなりませんし、複製禁止としておかなければなりません。そのため、個人情報の取り扱いに関する契約を結んでおく必要があります。


賃貸マンションを売買する場合は、個人情報を移転するのではなく、売主買主双方が保持することになります。引き渡し時にすべての家賃が売主側に入金されているとは限りませんし、未納家賃の督促をどちらが行うのかという問題が残ります。そのため、オーナーチェンジの通知書に個人情報の取り扱いについて記載をしておく必要があると思います。

また、販売目的の賃貸マンションの場合は、入居者の個人情報の開示を予定していることを賃貸借契約の重要事項説明書、契約書に明記しておくことが必要だと思います。

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