郊外の既存住宅の流通市場の問題
背景と課題
近年、既存住宅の流通市場の活性化が喫緊の課題となっています。特に、空家の流通が注目されており、その取引価格は低額帯が多い傾向にあります。しかし、空家の取引においては、媒介業者の受け取る報酬額が現地調査等の経費を含んでいるため、実質的な収益が低く、業務効率が低下することが懸念されています。
売却依頼があっても空家は老朽化している物件や、依頼物件が遠方にあったりするなど、通常の売却に比べ、調査等に要する経費がかかり規定の報酬では採算が合わないことが多いので、消極的にならざるを得ないと思われます。このため、空家流通の促進と報酬規定の見直しが求められていました。
低価格物件の取引における報酬規定の改正について
国土交通省は、空家流通の促進策の一環として媒介報酬額の特例を新たに設けた改正告示を施行しました。
国土交通省が平成29年12月に行った告示改正は、平成30年1月1日から施行され、さらに令和6年7月にも改正が行われました。低廉な空家等は平成30年改正では400万円以下とされていましたが、令和6年の改正によって800万以下に引き上げられました。
改正内容と影響
令和6年改正では、売買又は交換の媒介物件価格が800万円以下の低廉な空家等の取引において、宅建業者が受領できる報酬額は、費用相当額の加算を勘案して33万円が上限となりました。
平成30年改正時は、特例による報酬は売主からのみ受領でき、買主からの報酬は通常の報酬規程の計算による金額が上限でしたが、令和6年改正では売主買主双方から特例の33万円までの報酬を受領できるようになり、両手取引の上限額は66万円となります。
売買や交換の代理取引においても800万円以下の取引を行う場合の報酬は、特例報酬上限33万円の2倍まで受け取ることが可能です。
東京都で取引をしている方は800万円以下の物件を扱うことは稀であると思われますので、馴染みのない方が多いと思われる特例です。
郊外では使わなくなって放置されている空家が増えてくると思いますので、多めに費用を払ってでも売りたいと思う方も出てくるでしょう。
報酬規程が変わったことで注目が集まり、流通が活発化するかもしれません。
最近は郊外にセカンドハウスとして空家を買ったり、アトリエとして利用するケースがあり、新しいビジネスとしてニュースになることもあります。
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