都市計画制限とは
今回は、都市計画制限に関する基本的なポイントについてお話しします。都市計画制限とは、土地の利用や建築行為に対して都市計画を妨げないように制約を課すもので、開発行為を計画するためには、これを理解することはとても重要です。
市街地開発事業等予定区域の区域内における建築等の規制
市街地開発事業等予定区域では、以下の規制が適用されます
区域内での建築等の許可(法第52条の2)
市街地開発事業等予定区域内においては土地の形質変更や建築物の建設には都道府県知事等の許可が必要です。
有償譲渡の制限(都市計画法第52条の3)
市街地開発事業等予定区域内において計画決定の告示があった場合は、区域内における不動産の有償譲渡について、価格や相手方などを市街地開発事業等の施行予定者に届け出なければなりません。この届出は売買などの譲渡契約前に行う必要があり、事後の届出ではありません。そして、届出から30日以内に施行予定者がその不動産を買い取る旨の通知をしたときは、届出に記された予定金額で売買が成立したと見なされます。

都市計画施設等の区域内における建築等の規制
都市計画施設とは
公園、緑地、道路、鉄道、上水道、下水道、学校、図書館、病院、保育所など生活に必要な都市の骨組みを形作る施設で、都市計画に定めることができるものをいいます。
区域内での建築の許可(都市計画法第53条第1項)
都市計画施設の区域で建築物を建築するには都道府県知事等の許可が必要です。
許可の基準
都市計画施設の区域内で建築物を建築するためには許可が必要ですが、許可の基準を満たせば許可をしなければならないと定められています。
これは都市計画法第54条に定められています。
都道府県知事等は、前条第一項の規定による許可の申請があつた場合において、当該申請が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可をしなければならない。
- 当該建築が、都市計画施設又は市街地開発事業に関する都市計画のうち建築物について定めるものに適合するものであること。
- 当該建築が、第十一条第三項の規定により都市計画施設の区域について都市施設を整備する立体的な範囲が定められている場合において、当該立体的な範囲外において行われ、かつ、当該都市計画施設を整備する上で著しい支障を及ぼすおそれがないと認められること。ただし、当該立体的な範囲が道路である都市施設を整備するものとして空間について定められているときは、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして政令で定める場合に限る。
- 当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであると認められること。
- 階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと。
- 主要構造部(建築基準法第二条第五号に定める主要構造部をいう。)が木造、鉄骨造、コンクリートブロツク造その他これらに類する構造であること。
「1.」については都市計画内で定められている建築物、例えば公園内のトイレなどは該当すると思います。
「2.」については高架鉄道のしたに建築物が建っていたり、地下鉄の上に建築物があることを想像してみると分かりやすいと思います。
「3.」については将来撤去しやすい規模、構造の建築物であれば許可をすると言うものになります。
東京都においては、事業実施時期が不明確な都市計画道路が多くあり、都市計画制限が及ぼす影響が長期化する懸念があります。そのため、東京都の広い地域においては、別の規定を置いて制限緩和を行っています。
都市計画法
当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであると認められること。
- 階数が2以下で、かつ、地階を有しないこと。
- 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロツク造その他これらに類する構造であること。
東京都の条件緩和
当該建築物が、次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであること。
- 市街地開発事業(区画整理・再開発など)等の支障にならないこと。
- 階数が3、高さが 10m以下であり、かつ、地階を有しないこと。
- 主要構造部が、木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。
- 建築物が都市計画道路区域の内外にわたり存することになる場合は、将来において、都市計画道路区域内に存する部分を分離することができるよう、設計上の配慮をすること。
準防火地域内において木造3階建ての建築が可能となる中、東京都では土地の高度利用やゆとりある住宅の実現に対する要請などを背景に、木造3階建ての建物が多く建築されており、建築形態として定着しています。そのため、東京都においては、都市計画道路区域内においての許可基準をこのように変更しています。
許可の基準の特例等
都市計画施設区域内においては、「建築許可の基準を満たせば許可をしなければならない」という原則がありますが、都市計画施設内の指定された区域などにおいては「建築許可をしないことが出来る」という特例があります。
これはまだ計画段階ではあるものの、事業予定地として指定し、近い将来都市計画事業が近々行われる予定の土地に対しての特例となっています。そのため、移転、撤去が容易な建築物であっても許可しないことが出来るとしているのです。
建築許可が下りなかった場合の救済
事業予定地の土地の所有者は、建築許可がおりなかった場合に、土地を時価で買い取ることを請求することが出来ます。もし、買取をしないと通知を発した場合は、「建築許可をしなければならない」という原則に戻りますので、土地の買取の可否どちらでも救済を受けることになります。
有償譲渡の制限(都市計画法法第57条)
都市計画施設についての計画決定の告示があった場合は、事業予定地内の土地の売買など有償譲渡に制限がかかります。制限の内容は「都市計画法第52条の3」で説明した内容と似ているので参考にしてください。
まとめ
都市計画制限は、説明した内容のほか、地区計画区域や風致地区内での建築制限などがありますが、まずは今回説明した制限を理解すると、その他の制限もわかりやすいと思います。
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