ざっくりと1人会社で起業するときの定款を解説します。
末尾にサンプル(Word:日本公証人連合会)のリンクを貼っておきますのでご利用ください。
株式会社〇〇〇〇〇定款
第1章 総則
(商号)
第1条当会社は、株式会社〇〇〇〇〇と称する
商号には、漢字、ひらがな、カタカナのほかローマ数字、アラビア数字、記号(「&」「’」「-」「.」「・」)が使用できます。
記号は語句を区切る用途でのみ使用できます。商号の先頭、末尾には使用できません。ただし「.」はInc.など省略を表す文字として使用できます。
詳しくは法務省「商号にローマ数字等を用いることについて」
同じ住所に先に同名の商号が登記されていると、その商号は使用できません。そんなことはほぼないと思いますので、考えてからチェックしても構わないでしょう。商号調査は法務省ホームページで無料のアカウントを取得して行います。オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について
(目的)
第2条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。
1 〇〇の製造及び販売
2 〇〇の輸入及び販売
3 前各号に附帯する又は関連する一切の事業
法人は定款で定められた目的の範囲で権利義務を負うと民法に定められています。
起業直後には行わない事業も、将来を見据えて目的に入れておきましょう。特に許認可がからむ事業を考えている場合は、その許認可の法令に従った書き方が必要になってきます。
ただし、目的は登記されて取引相手が見るものですので、なんでもかんでも盛り込むとあまり良いイメージはありませんので気を付けましょう。
(本店所在地)
第3条 当会社は、本店を東京都〇〇市に置く
定款に定める本店所在地は市区町村まで良いです。本店の所在ビルが建て替えで近くに移転するケースも良くあります。
(公告方法)
第4条 当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。
特別な事情がなければ官報で大丈夫です。ここで記載しない場合、官報で公告するとみなされます。
第2章 株式
(発行可能株式総数)
第5条 当会社の発行可能株式総数は、100株とする。
通常、この発行可能株式総数は設立時に発起人に発行する株式の総数より多くします。将来的に出資を募って仲間を増やす場合もあります。この例では1000万円までの資本金増資に対応しているので、そのまま使っても良いと思います。
(株券の不発行)
第6条 当会社は、その株式に係る株券を発行しない。
通常、株券は発行しません。株券を発行すると手続きや管理の手間が掛かりますので、この例のままで良いと思います。
(株式の譲渡制限)
第7条 当会社の発行する株式の譲渡による取得については、取締役の承認を受けなければならない。
「取締役の承認」は「株主総会の承認」「当会社の承認」でも大丈夫です。「当会社の承認」とした場合は、承認機関は株主総会です。
(基準日)
第8条 当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会おいて権利を行使することができる株主とする。
2 前項のほか、必要があるときは、取締役は、あらかじめ公告して、臨時に基準日を定めることができる。
基準日制度については記事を書きましたので、ぜひご覧ください。
(株主の氏名等の届出)
第9条 当会社の株主及び登録株式質権者又はそれらの法定代理人は、当会社所定の書式により、氏名、住所及び印鑑を当会社に届け出なければならない。
2 前項の届出事項を変更したときも、同様とする。
会社を設立してしばらくは必要ありませんので、そのまま使って良いと思います。
第3章 株主総会
(招集時期)
第10条 当会社の定時株主総会は、毎事業年度の終了後3か月以内に招集し、臨時株主総会は、必要がある場合に招集する。
(招集権者)
第11条 株主総会は、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役が招集する。
(招集通知)
第12条 株主総会の招集通知は、当該株主総会で議決権を行使することができる株主に対し、会日の5日前までに発する。
(株主総会の議長)
第13条 株主総会の議長は、取締役がこれに当たる。
2 取締役に事故があるときは、当該株主総会で議長を選出する。
(株主総会の決議)
第14条 株主総会の決議は、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。
(議事録)
第15条 株主総会の議事については、法令に定める事項を記載した議事録を作成し、株主総会の日から10年間本店に備え置く。
ここはそのまま使って良いと思います。当面はご自身が代表取締役であり株主であるので、招集手続きも簡易です。
第4章 取締役
(取締役の員数)
第16条 当会社の取締役は、1名とする。
(取締役の資格)
第17条 取締役は、当会社の株主の中から選任する。ただし、必要があるときは、株主以外の者から選任することを妨げない。
(取締役の選任)
第18条 取締役は、株主総会において、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数の決議によって選任する。
(取締役の任期)
第19条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
第5章 計算
(事業年度)
第20条 当会社の事業年度は、毎年〇月1日から翌年〇月末日までの年1期とする。
事業年度は1年を超えない期間で設定しましょう。免税や業界の繁忙期を考慮し決めるとよいでしょう。
(剰余金の配当)
第21条 剰余金の配当は、毎事業年度末日現在の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対して行う。
(配当の除斥期間)
第22条 剰余金の配当がその支払の提供の日から3年を経過しても受領されないときは、当会社は、その支払義務を免れるものとする。
第6章 附則
(設立に際して出資される財産の価額及び成立後の資本金の額)
第23条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金100万円とする。
2 当会社の成立後の資本金の額は、金100万円とする。
資本金は1円でも設立できますが、事業の資金を考えると100万円は用意したほうが良いかもしれません。
(最初の事業年度)
第24条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から令和○年〇月末日までとする。
第20条で決めた事業年度の期末を設定します。
(設立時取締役)
第25条 当会社の設立時取締役は、次のとおりである。
設立時取締役 ○○○○
(発起人の氏名ほか)
第26条 発起人の氏名、住所、設立に際して割当てを受ける株式数及び株式と引換えに払い込む金銭の額は、次のとおりである。
東京都○○区○町○丁目○番○号
発起人 ○○○○ 10株、金100万円
ここはご自身の情報を記載してください。
発起人の住所表記は印鑑証明書の記載通りにしましょう。
(法令の準拠)
第27条 この定款に規定のない事項は、全て会社法その他の法令に従う。
以上、株式会社○○○〇○設立のため、発起人○○○○の定款作成代理人○○○○は、電磁的記録であるこの定款を作成し、これに電子署名をする。令和○年○○月○○日
発起人 ○○○○
上記発起人の定款作成代理人
住 所
○○○○
これは電子定款で作成するときのひな型です。紙の定款にする場合は下記のひな型に差し替えてご使用ください。
(法令の準拠)
第27条 この定款に規定のない事項は、全て会社法その他の法令に従う。
以上、株式会社○○○○設立のため、この定款を作成し、発起人が次に記名押印する。
令和○年○○月○○日
発起人 ○○○○ 印