容積率の制限緩和と特例について詳しく解説
こんにちは!今回は、「容積率の制限緩和と特例」について詳しく解説します。容積率は建築計画における重要な要素であり、特定の条件を満たすことで制限が緩和される場合があります。
容積率とは?
容積率は、建物の延べ床面積が敷地面積に対してどれだけの割合を占めるかを示す指標です。これは、土地利用の効率化や都市景観の保護、災害時の安全確保を目的として、都市計画や建築基準法で定められています。
容積率制限の基本的な内容は前回の記事でお伝えしましたので、ぜひご覧ください
特定道路による緩和
前面道路の幅員が6メートル以上12メートル未満であり、敷地から70メートル以内に幅員15メートル以上の特定道路がある場合、容積率の上限が緩和されます。
計算方法
適用係数は次の通りです。
地域・区域 | 前面道路幅員に乗じる数値 (%) |
---|---|
第1種・第2種低層住居専用地域、 田園住居地域 | 40 |
第1種・第2種中高層住居専用地域 第1種・第2種住居地域、準住居地域 | 40(特定行政庁が指定する区域では60) |
その他の地域 | 60(特定行政庁が指定する区域では40または80) |
特定道路による緩和は次の公式で計算されます:
容積率 = (前面道路幅員 + 緩和数値) × 適用係数(40, 60, 80)
緩和数値の計算:
緩和数値 = (12 - 前面道路幅員) × (70 - 特定道路までの距離) / 70
具体的な計算例
- 前面道路幅員:8メートル
- 特定道路までの距離:50メートル
- 適用係数:60%
緩和数値 = (12 - 8) × (70 - 50) / 70 =
1.143 ...
容積率 = (8 +1.143) × 60= 548%
容積率の制限に関する特例
地下室の床面積の不算入
住宅や老人ホームなどに設置する地下室の床面積は、延べ床面積の1/3を限度として、容積率算定から除外されます。ただし、地下室の天井が地盤面からの高さ1メートル以下の場合に限ります。
エレベーターや廊下等の床面積不算入
次に該当する部分は床面積に算入しません。
- エレベーター
- 共同住宅又は老人ホーム等の共用の廊下又は階段の用に供する部分
- 住宅又は老人ホーム等に設ける機械室その他これに類する建築物の部分(給湯設備その他の国土交通省令で定める建築設備)
住宅に関する容積率の緩和
住宅用途の建築物で次の条件に該当するものは、指定容積率の1.5倍を限度として容積率の緩和を受けることが出来ます。
- 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域若しくは準工業地域又は商業地域内にある。
- 一定規模以上の空地と敷地面積を有している。
車庫・駐輪場の容積不算入
自動車車庫、自転車置場等は、建築物の延べ床面積の1/5までは容積として算入しません。
計画道路に接する敷地の容積率制限の緩和
計画道路に接する敷地は、その計画道路を前面道路としてみなすことで容積率制限の緩和を受けることが出来ます。この緩和を受けるためには特定行政庁の許可が必要となります。
この例では、15m幅員の道路に接しているとみなして容積率制限の計算をすることが出来ます。
壁面線による緩和
前面道路に面する建物の壁面線が指定されている場合、壁面線を敷地境界線とみなし、容積率を緩和することができます。
この例では2mの壁面後退があった場合に、幅員6mと後退距離2mを合わせた8mの道路に接しているとみなして容積率制限の限度を計算することが出来ます。
総合設計による容積率制限、高度制限の緩和
敷地内に広い空地がある建築物の場合、特定行政庁の許可により、容積率制限や高さ制限が緩和されることがあります。
特例容積率適用地区
特例容積率適用地区は、未利用となっている容積の活用を促進し、土地を高度利用するために定められる地区です。土地所有者等の申請に基づいて特例容積率が定められます。
過去記事も参照ください。
まとめ
容積率の制限緩和や特例を理解することで、建築計画の柔軟性を高めることができます。上に挙げた例のほかにも容積率制限の特例がありますので、個別の物件で調査漏れの内容にすることは重要です。