入居者と連絡が取れない!
入居者と連絡が取れない事と、家賃の滞納は密接に関係しています。
家賃の振込が遅れがちであったり、滞納中であったりする入居者は連絡が取り難く、携帯電話にメッセージを残していても、折り返しの電話があることは稀です。
そのまま放っておくと、家賃回収の難しい入居者になってしまうので、一日でも遅れたら、連帯保証人とも連絡を取っておいたほうが良いです。
また滞納が発生した場合、家賃保証を利用している場合は速やかに保証会社へ事故報告をしましょう。
入居者が失踪したケース
入居者と連絡が取れないばかりか生活している形跡がない場合、すでに部屋を出て行っている可能性があります。(ガス、水道のメーターを検針することで生活している形跡を調べることが出来ます。)
では、帰ってこない入居者の代わりに、連帯保証人に対して部屋の明け渡しを請求できるでしょうか?
判例では建物の明け渡しは賃借人の一身専属的な義務であり、入居者に代わって連帯保証人が建物の明け渡しをすることはできないとされています。
連帯保証人が家賃を払い続けてくれれば、賃貸人は満足かもしれませんが、入居の実態がない場合に連帯保証人が家賃を払い続けるのは不経済です。
連帯保証人が家賃を払い続けている場合も、前述のように入居者の失踪で生活の事実が無い場合は、賃貸人が入居者との契約を解除するための行動を起こさなければ、連帯保証人に不測の損害を与えてしまうことにもなりかねません。
失踪した入居者に契約解除の意思表示の通知が到達しない場合でも勝手に荷物を撤去することはできません。
この場合は建物明渡訴訟を提起して、その中で契約解除の意思表示を記載します。訴状を公示送達した上で被告欠席による判決で債務名義を取得し強制執行する事がひとつの方法として挙げられます。
そのような手続きを経て、なんとか荷物を撤去できるのです。
契約に残置物処分の特約を入れる
残置物の処分について、予め契約書に特約として規定しておけば良いのではないか。そう考える方は多いと思いますが、判例は場合によって特約が無効となる場合があるとしています。
入居者が退去し、一部不要物が残っていた場合
この場合は特約が有効に働くと考えられます。つまり入居者が退去の意思があり、その過程であえて置いていたものは、契約に従い処分する事が出来ると考えられます。
入居者の行方が分からず、家財がそのまま残置されていた場合
特約によって、無断で残置物を処分した場合は、借主の占有を侵害するものとなり、自力救済を許容する特約となって無効であると考えられます。
入居者との連絡の滞りは、家賃滞納、失踪の入り口です。入居者の行方が分からなくなると、とても面倒なことになりますので、入居者だけでなく、緊急連絡先や職場等をきちんと把握しておくことが重要だと思います。
中には緊急連絡先や職場について偽装情報を提供する会社がありますのでご注意ください。