不動産業者から顧客紹介料を継続的に受領することは可能か?

不動産
  1. ホーム
  2. 不動産
  3. 不動産業者から顧客紹介料を継続的に受領することは可能か?

不動産業界では、宅建業免許を持たない一般事業者が不動産業者に顧客を紹介し、紹介料を受領することが増えています。この取引が法的に問題ないかどうかについて、特に、顧客紹介料の受領が反復継続する場合、その合法性が気になるところです。本記事では、この取引の法的見解を詳しく解説します。

顧客紹介料の背景

宅建業法の基本概要

宅地建物取引業法は、不動産取引の公正を確保するために制定された法律です。同法では、個人または事業者が不動産に関する「一定の行為を業として行う」には、宅建業免許が必要とされています。「業として行う」とは、反復継続的に不動産取引を行うことであり、「一定の行為を業として行う」という点が顧客紹介料の受領に関する法的判断の基礎となります。

顧客紹介料と宅建業法

宅建業法では、不動産取引の媒介や代理を業として行う者に免許が必要です。一般事業者が不動産業者に顧客を紹介し、紹介料を受け取る行為は、一見するとこの「媒介行為」に該当するように見えます。しかし、経済産業省の「グレーゾーン解消制度」での照会で、条件を満たせばこの行為は宅建業法に抵触しないとされています。

業務提携契約の注意点

経済産業省の「グレーゾーン解消制度」

経済産業省が運用する「グレーゾーン解消制度」とは、産業競争力強化法に基づき、事業者が、現行の規制の適用範囲が不明確な場合においても、安心して新事業活動を行い得るよう、具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認できる制度です。

この「グレーゾーン解消制度」での回答では、一般事業者が顧客紹介を行い、宅建業者から紹介料を受領する行為が宅建業法に該当しないと判断される条件が以下のように明確化されました。この判断により、不動産取引における情報提供ビジネスの新たな可能性が広がっています。

  1. 物件の説明や取引条件の交渉・調整に関与しないこと:顧客と不動産業者との間の取引に、紹介者が直接関与しないことが重要です。
  2. 初回面談の同席に限定すること:紹介者が同席するのは、顧客と不動産業者の初回面談時に留め、それ以後の関与はしないこと。
  3. 紹介料の名目:紹介料は契約成立時に限り、紹介料として受領すること。

実際の業務提携の流れ

業務提携契約の締結

まず、不動産業者と一般事業者との間で、顧客紹介に関する業務提携契約を締結します。この契約には、紹介者が取引の詳細に関与しない旨を明記し、紹介料の受領条件を詳細に記載します。

顧客の紹介

一般事業者は、不動産取引を希望する顧客の情報を不動産業者に提供します。この際、顧客の同意を得ることが重要です。

初回面談への同席

顧客と不動産業者の初回面談に一般事業者が同席します。この時点での関与に留め、その後の取引には一切関与しません。

契約成立時の紹介料受領

顧客と不動産業者との取引が成立した場合、一般事業者は紹介料を受領します。この紹介料は、事前に契約で定めた金額に基づきます。

法的リスクの回避策

契約内容の明確化

業務提携契約の内容を書面で作成し、双方の役割と権利義務の範囲を明確にします。特に、紹介者が取引の詳細に関与しないことを強調します。

定期的な法的確認

法令や規制が変更される可能性があるため、定期的に法的確認を行い、最新の法的要件に適合するようにします。必要に応じて、法律専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。

まとめ

経済産業省の「グレーゾーン解消制度」の回答では、一般事業者が不動産業者に顧客を紹介し、継続的に紹介料を受領することは、条件を満たせば宅建業法に違反しないとされました。これによって一般事業者が安心して不動産業者との業務提携を進めることが出来るようになりました。

宅建業法違反のリスクを回避するためには、業務提携契約の内容を明確にし、定期的に法的確認を行うことが重要です。