建築基準法用語の説明

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建築基準法の基本用語を理解しよう

1. 建築物とは?

建築基準法における「建築物」は、土地に定着する工作物で以下のものを指します。

  • 屋根および柱や壁を有するもの(これに類する構造のものも含む)およびこれに付属する門、塀
  • 観覧のための工作物:球場のスタンド席など
  • 地下または高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫など

2. 特殊建築物とは?

「特殊建築物」は、下記のような不特定多数の人が利用する建築物、または衛生上・防火上特に規制すべき建築物等で、一般の建築物よりも建築が制限されるものとされます。

学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。

上記は建築基準法で定める特殊建築物であり、地方自治体によっては、条例で定める「特殊建築物」の範囲が異なる場合があるので注意が必要です。

3. 建築とは?

建築基準法における「建築」とは、建築物を新築・増築・改築・移転することを指します。

4. 建築設備とは?

「建築設備」は、建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針を指します。

5. 居室とは?

「居室」は、居住、執務、作業、集会、娯楽などの目的で継続的に使用する室を指します。

居室とされるもの居室とされないもの
住宅居室、食堂、台所※1、寝室、書斎、子供室、応接室、家事室等玄関、浴室※2、洗面所、便所、脱衣室、納戸、車庫、階段、廊下、物置等
住宅以外事務室、教室、会議室、病室、診察室、売場、客室、調理室、作業室、宿直室等倉庫、機械室、更衣室、階段室、湯沸室、便所、リネン室、洗面所等
※1 住宅の小規模な台所については、採光の規定について居室とみなされない場合があります。
※2 公衆浴場の浴室は居室です。

6. 敷地とは?

「敷地」は、「1つの建築物」または「用途上不可分の関係にある2つ以上の建築物」のある一団の土地を指します。

宅地とは

不動産登記法上は登記簿上の地目の一つで「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地」とされていますが、宅地建物取引業法上は「建物の敷地に供せられる土地」「用途地域内のその他の土地で、道路、公園、河川、公共の用に供する施設の用に供せられているもの以外の土地」とされています。

7. 延焼のおそれのある部分とは?

市街地では、建物が密集しているため、一度火災が発生すると次々と隣接する建物に燃え移るリスクがあります。これを防ぐために、「延焼のおそれのある部分」が定められています。

  • 延焼のおそれのある部分の範囲
    • 1階:隣地境界線や道路中心線から3メートル以内
    • 2階以上:隣地境界線や道路中心線から5メートル以内

建築物の、この範囲内には、防火対策として防火戸や耐火構造の壁などが必要ですので、通常よりも建築コストが上がることになります。

8. 耐火建築物とは?

「耐火建築物」は、火災に対して高い耐火性能を持つ建築物です。次の基準に適合する必要があります。

  • 耐火構造:壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。
  • 耐火性能:耐火性能に関して政令で定める技術的基準
建築物の部分時間
最上階及び最上階から数えた階数が2以上で4以内の階最上階から数えた階数が5以上で9以内の階最上階から数えた階数が10以上で14以内の階最上階から数えた階数が15以上で19以内の階最上階から数えた階数が20以上の階
間仕切壁(耐力壁に限る。)1時間1.5時間2時間2時間2時間
外壁(耐力壁に限る。)1時間1.5時間2時間2時間2時間
1時間1.5時間2時間2.5時間3時間
1時間1.5時間2時間2時間2時間
はり1時間1.5時間2時間2.5時間3時間
屋根30分間
階段30間
当該各部分に通常の火災による火熱が同表の下欄に掲げる当該部分の存する階の区分に応じそれぞれ同欄に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
  • 外壁の開口部の防火設備:防火戸などの防火設備を設けること。これらの設備は、火炎を遮る性能を持ち、国土交通大臣が定めた構造方法または認定を受けたものに限られます。

9. 準耐火建築物とは?

「準耐火建築物」は、耐火建築物よりもやや低い耐火性能を持つ建築物です。次の基準に適合する必要があります。

  • 主要構造部の準耐火性能
    • 準耐火構造:建築物の主要構造部が準耐火構造であること。
    • 同等の準耐火性能:主要構造部が耐火建築物と同等の準耐火性能を有すること。
間仕切壁(耐力壁に限る。)45分間
外壁(耐力壁に限る。)45分間
45分間
45分間
はり45分間
屋根(軒裏を除く。)30分間
階段30分間
当該部分に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後それぞれ同表の下欄に掲げる時間において構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
  • 外壁の開口部の防火設備:防火戸などの防火設備を設けること。これらの設備は、耐火建築物と同様に政令で定められた技術的基準に適合する必要があります。

10. 大規模の修繕と模様替えとは?

  • 大規模の修繕:建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕を指します。
  • 大規模の模様替え:建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替えを指します。

主要構造部とは

建築基準法第2条1項5号 主要構造部

壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

修繕と模様替え

修繕とは同じ材料で補修等を行うことを言います。模様替えは材質を変更して補修等を行うことを言います。ですので、模様替えの方が大掛かりな行為と言えるでしょう。

11. 敷地面積とは?

「敷地面積」は、敷地の水平投影面積を指します。ただし、道路後退により所有地の一部を提供する場合の面積は敷地面積として算入されません。

12. 建築面積とは?

「建築面積」は、建築物の外壁または柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積を指します。

13. 床面積とは?

「床面積」は、建築物の各階の壁などで囲まれた部分の水平投影面積を指します。

14. 延べ面積とは?

「延べ面積」は、建築物の各階の床面積の合計を指します。

15. 建築物の高さとは?

「建築物の高さ」は、地盤面からの高さを指します。場合によっては以下のように取り扱われます。

  • 道路斜線による高さの算定:前面道路の路面の中心からの高さ
  • 原則的に高さに算入しないもの:階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分(北側斜線・高度地区で制限される場合を除く)棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物

まとめ

建築基準法の用語を理解することは不動産取引の当事者にも重要です。建築確認の添付図面にも記載されるものですので、聞かれたら答えられるようにしておきたいですね!