地域地区による制限①

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特定の地域・地区に関する建築制限について知っておこう

こんにちは!今回は、特例容積率適用地区や高層住居誘導地区など、特定の地域や地区に関する建築制限について詳しくお話しします。これらの地区は、都市の計画や利用に大きな影響を与えるため、しっかりと理解しておくことが重要です。では、具体的に見ていきましょう。

1. 特例容積率適用地区

特例容積率適用地区は、未利用となっている容積の活用を促進し、土地を高度利用するために定められる地区です。土地所有者等の申請に基づいて特例容積率が定められます。

建築敷地の指定容積率の一部を複数の建築敷地間で移転することができるということが特徴で、これによって区域内での「空中権」の売買が可能となっています。

有名な例では東京駅周辺の地域で適用されたものがあります。使用していない容積率は売却することができ、JR東日本は東京駅の使っていない容積率を他の事業者に売却して改修の費用の調達を行いました。

2. 高層住居誘導地区

高層住居誘導地区は、郊外に拡散した住宅地を都心部に呼び戻し、高層住宅の建築を促進するために定められる地区です。

制限または緩和措置内容
建蔽率の最高限度または敷地面積の最低限度都市計画に定められた場合、その内容に適合する必要があります(建築基準法第57条の5)。
容積率の緩和住宅の用途に供する部分の床面積が3分の2以上である建築物について、容積率の引き上げ(指定容積率の1.5倍以下)。
前面道路幅員よりの容積率の緩和商業系用途地域と同じ制限を適用(幅員×6/10)。
斜線制限の緩和商業系用途地域と同じ制限を適用(道路・隣地斜線勾配)。
日影規制の適用除外高層住居誘導地区内では日影規制が適用されません。ただし、日影規制の対象区域に日影を生じさせる場合は適用されます。

東京都では東雲一丁目地区、港区芝浦四丁目地区が指定されています。様々な建築制限の緩和によって容積率いっぱいまで建築しやすい地域になっています。

3. 高度地区

高度地区は、建物の高さの最高限度(最高限高度地区)または最低限度(最低限高度地区)を定め、市街地の環境維持や土地利用の増進を図る地区です。

種類内容
最高限高度地区高さの最高限度を定め、あまり高い建物が建たないようにして市街地の環境や都市景観を保全します。
最低限高度地区高さの最低限度を定め、それ以上の高さの建物を確保し、市街地の土地利用の増進や災害時の避難地を確保します。

絶対的な高さを制限するタイプや、敷地境界線からの距離に比例して制限をする斜線制限タイプがあります。

4. 高度利用地区

高度利用地区は、市街地の高度利用を図るために定められる地域ですが、土地の細分化や狭小ビルの乱立を抑制することで、空地の確保と大規模開発を目指しています。

  • 容積率、建蔽率、建築面積及び壁面の位置の規制:高度利用地区に関する都市計画に定められた内容に適合する必要があります(建築基準法第59条第1項、第2項)。

高度利用地区で定められた容積率、建蔽率および建築面積の制限は一定の建物で除外されますが、壁面の位置は除外されていません。例えば八王子市の高度利用地区では壁面位置の制限が5mというものがありますが、狭小敷地で5m壁面後退はまず不可能です。

5. 特定街区

特定街区は、街区(ブロック)単位で良好な市街地を形成するために都市計画で指定される地区です。

この地区内では、都市計画で、建築物の容積率、高さの最高限度、壁面の位置の制限の3つが定められ、用途地域における一般的な容積率、建蔽率等の規制が適用されません。
この制度は、敷地内に有効な空地を確保させる代わりに、容積率、高さ制限等の一般的な形態規制を一般の地区より緩和するものです。

6. 都市再生特別地区

都市再生特別地区は、都市再生特別措置法に基づき、都市再生に貢献し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図るために定められる地区です。

既存の用途地域で指定される建ぺい率・容積率・高さの最高限度・斜線制限・日影規制に関わらず、都市計画で定めた規制が適用されます。

この恩恵を受けるために「公共貢献施設」を計画する必要がありますが、容積率割り増しなどに対し評価されるポイントは次の通りです。

評価対象としている整備内容
公共空地関係・広場(屋内・屋外・屋上)・公園・緑地
防災施設関係・備蓄倉庫・防火貯水槽
歴史・文化的資産保存関係・歴史的建造物・重要文化財指定建築物
供給処理施設関係・地域冷暖房施設・中水道施設・雨水貯留施設
公益施設関係・社会福祉施設・文化施設・交流施設・コミュニティ施設・集会施設
交通施設関係・道路・歩行者通路・ペデストリアンデッキ・地下通路・交通広場・公共駐車場・駐輪場

まとめ

特定の地域や地区に関する建築制限は、都市計画の重要な部分です。これらの制限を理解し、適切に対応することで、計画的な土地利用と都市開発を進めることができます。ご不明点がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。