判示事項

 一、国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項、一一〇条一項一七号の合憲性
二、国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)一一〇条一項一七号にいう「あおり」および「企て」の意義
三、国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項、一一〇条一項一七号の法意
四、政治的目的のための争議行為と憲法二八条

裁判要旨

 一 国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項、一一〇条一項一七号は憲法二八条に、国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)一一〇条一項一七号は憲法一八条、二一条、三一条に違反しない。
二 国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)一一〇条一項一七号にいう「あおり」とは、同法九八条五項前段に規定する違法行為を実行させる目的をもつて、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、または、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいい、「企て」とは、右違法行為を共謀し、そそのかし、または、あおる行為の遂行を計画準備することであつて、違法行為発生の危険性が具体的に生じたと認めうる状態に達したものをいう。
三 国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項、一一〇条一項一七号は、公務員の争議行為のうち同法によつて違法とされるものとされないものとを区別し、さらに違法とされる争議行為についても違法性の強いものと弱いものとを区別したうえ、刑事制裁を科さるのはそのうち違法性の強い争議行為に限るものとし、あるいは、あおり行為等につき、争議行為の企画、共謀、説得、慫慂、指令等を争議行為にいわゆる通常随伴するものとして争議行為自体と同一視し、これを刑事制裁の対象から除くものとする趣旨ではない。
四 私企業の労働者であると、公務員を含むその他の勤労者であるとを問わず、使用者に対する経済的地位の向上の要請とは直接関係のない警察官職務執行法の改正に対する反対のような政治的目的のために争議行為を行なうことは、憲法二八条とは無関係なものである。

参照法条

 国家公務員法98条,国家公務員法110条1項17号,国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)98条5項,国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)110条1項17号,憲法18条,憲法21条,憲法28条,憲法31条