判示事項

 一 芸術的思想的価値のある文書と猥褻性
二 文書の部分についての猥褻性と文書全体との関係
三 憲法二一条二三条と公共の福祉
四 法律判断で無罪を言い渡した第一審判決を事実の取調をすることなく破棄し控訴裁判所がみずから有罪の判決をすることと刑訴法四〇〇条但書

裁判要旨

 一 芸術的・思想的価値のある文書であつても、これを猥褻性を有するものとすることはさしつかえない。
二 文書の個々の章句の部分の猥褻性の有無は、文書全体との関連において判断されなければならない。
三 憲法二一条の表現の自由や同法二三条の学問の自由は、絶対無制限なものではなく、公共の福祉の制限の下に立つものである。
四 第一審裁判所が法律判断の対象となる事実を認定し、法律判断だけで無罪を言い渡した場合には、控訴裁判所は、改めて事実の取調をすることなく、刑訴法四〇〇条但書によつて、みずから有罪の判決をすることができる。

参照法条

 刑法175条,憲法21条,憲法23条,刑訴法400条