判示事項

 一 法定で傍聴人がメモを取ることと憲法八二条一項
二 法廷で傍聴人がメモを取ることと憲法二一条一項
三 法廷警察権行使についての裁量の範囲
四 法廷でメモを取ることを報道機関の記者に対してのみ許可することと憲法一四条一項
五 法廷警察権の行使と国家賠償法一条一項の違法性

裁判要旨

 一 憲法八二条一項は、法廷で傍聴人がメモを取ることを権利として保障しているものではない。
二 法廷で傍聴人がメモを取ることは、その見聞する裁判を認識記憶するためにされるものである限り、憲法二一条一項の精神に照らし尊重に値し、故なく妨げられてはならない。
三 法廷警察権の行使は、裁判長の広範な裁量に委ねられ、その行使の要否、執るべき措置についての裁判長の判断は、最大限に尊重されなければならない。
四 法廷でメモを取ることを司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ許可し、一般傍聴人に対して禁止する裁判長の措置は、憲法一四条一項に違反しない。
五 法廷警察権の行使は、法廷警察権の目的、範囲を著しく逸脱し、又はその方法が甚だしく不当であるなどの特段の事情のない限り、国家賠償法一条一項にいう違法な公権力の行使ということはできない。

参照法条

 憲法14条1項,憲法21条1項,憲法82条1項,裁判所法71条,刑訴法288条2項,国家賠償法1条1項