所有権界は隣地の協力無しに確定できない

悩む3人不動産物件の隣地所有者に、境界立会に応じてもらえない場合、その物件の販売はなかなか困難です。その旨の説明は必要ですし、将来のトラブルを抱えたまま消費者に売ることは出来ません。

以前、このような物件を扱ったときに「筆界特定制度を使えばいいじゃないか」と持ちかけられたことがあります。
筆界特定制度は公法上の境界を特定するもので、専門家が客観的な判断で特定するので、強力な証拠にはなります。しかし、それ自体に行政処分としての効果はありません。権利義務を一方的に変動させる処分性がないということは、相手方にもその境界点を主張することはできないのです。

近年の分譲地や都市部では筆界と所有権界は一致するのが普通であるため、筆界特定制度を使えば、境界トラブルも解決したことになるとの誤解が生まれるのだと思います。

腕組み行政書士筆界特定制度が早くて便利とは言っても、不動産取引の慣行からいえば、特定するまで半年から一年は長いとも言えます。とは言え強力な証拠にもなりますし、制度自体はトラブル解決の第一歩ではありますが、それを盾に所有権界を主張するのはよくありません。どうしても折り合わない場合は所有権確認訴訟によるしかないと思います。

売却依頼から始まることの多い境界確定作業ですが、境界はその依頼人のものであると同時に、隣地所有者のものでもあります。やはり所有者同士の意思確認は客観的な立場で進めないと引くに引けないトラブルに発展してしまいます。